まず、昨日、夜何時ごろ寝ましたか。
昨日は、深夜3時ぐらいですね。
お仕事を終えて、夜ご飯を厨房で食べたり、自宅で食べたりするんですけど。寝る前に1回リラックスをする時間があるので。昨日は映画を見てましたね。『きみはいい子』っていう。尾野真千子さんの。それを見て、リラックスして。お風呂入って寝ました。
でも、仕事で本当にくたくたのときは、下手するともう帰ってお風呂にも入らず寝ちゃうぐらいです。余裕があると、映画を見たりとか。あと、マンガを読んだりしてますね。本当に、仕事を忘れるわずかな時間なので。

結構、忙しいんですね。
1人でやってるっていうのがすべてだと思います。もう1人スタッフさんがいたら。例えば、つくってる間にラッピングしてもらう。つくってる間に接客をしてもらうっていうことが可能なんですけど。私は今のところ1人なので。何から何まで、という意味で忙しいです。

じゃあ、ここから本題なんですけど。
小さい頃の自分っていうのは、どんな子供だったかっていうのを聞きたいんですけれども。

自分の記憶というよりかは母親に言われるのが、「ジンブ(自分)でやる」って、いつもなんでも言ってたらしいんですね。かなり小っちゃい頃の話なんですけど。自立心がどうやらあったらしいです。あんまり、誰かに甘えるとかはしたことがない感じで。なんでも「ジンブで、ジンブで」やってみる子でしたね。
あと、幼稚園のときに優等生のピークだったみたいで。本当に、幼稚園生のうちは完璧だったらしいですけど。そこからだんだん、なんか、ずれていったというか。なんですかね。幼稚園のときが1番自立心があって、幼稚園の中での成績もよかった子みたいです。どこからずれてきたのかわからないです。

その中で何か思い出に残ってる楽しかったこととかありますか。その時代に。
私12月生まれなんですけど。12月生まれの子で集まって、園が終わったあとに特別に何かパーティみたいなことをする会があって。そのときのパーティが本当に毎年楽しみで。今のお仕事とリンクさせちゃうんですけど。そのときだけ食べられるロールケーキっていうのがありまして。記憶の中でものすごく美味しくて。大人になってから、幼稚園の近くの洋菓子屋さんを全部回ったんですけど、そのケーキがなくて。もう、どこのケーキかわからないんですけど。
記憶に残る味っていうのは人それぞれあるんだなっていうのと、もし自分のお菓子が、今買いに来てくれる子どもたちの、そういうぼんやりとした記憶になればいいなっていうのは思っています。

逆に、つらかったこととか、しんどかったことってありますか。
小学生。私は、結構な私立の女子高だったんですね。結構っていうのは、勉強ばっかりの学校だったので。夏休みとかも宿題やってる記憶ぐらいしかないですね。特に、英語に長ける学校だったので。もう、アルファベットを吸い込むみたいな、そんな毎日だったので。それはつらかったです。勉強ばっかりしてました。鬼みたいな学校だった。

それは、自分の意志で行かれたんですか。
いえ。幼稚園からの流れの私立だったので。自分の意志とか何も関係なく。でも、今では感謝してますね。英語に関してだけは、そこで基礎知識とかを学んだので。お客様でも、外国の方がいらっしゃっても。最低限ですけど、割と今でもお話できるので。

じゃあ、今、どんな仕事をしているかっていうところを聞きたいんですけど。
簡単に言うと、クッキー1枚だけほしいときとかってあると思うので。ほんのちょっと食べたい焼き菓子を売る店をしております。
きっかけは。本当に皆さんにびっくりされるんですけど。私、もともとパン職人を目指していて、パン屋さんになるつもりだったので。全然、焼き菓子屋、お菓子屋、毛頭なかったんですけど。パン屋さんになろうとしたきっかけも、高校生のある日、ある朝起きて突然、パン屋さんになろうって決めただけなので。それで、専門学校もパンのほうに通ったりとか、バイト先もほぼパン屋っていうかたちで。
実は、お菓子は独学なんですね。なんですけど、年齢がばれるんですけど、30歳っていう節目のときに、もうバイトも辞めて、自分の仕事で開業するっていうところはきちんと決めていて。さて、パン屋さんになれるのかってなったときに、パンっていうものの鮮度の早さ、リスクの高さ。パンは生鮮食品なので、とてもじゃないけど1人でお仕事としてやれるかって自信がなかったんですね。そうしたときに、クッキーは日持ちがする。あと、引菓子の需要とかもあるので。じゃあ、ちょっと、日持ちのする焼き菓子のほうのお仕事を腰を据えてしっかりやろうと決めて。それがきっかけです。

すごいですね。その、神の啓示みたいなのがあったんですか。
今でも何だったんだろうって思うんですけど。ある朝起きて、パン屋さんになろうって決めて。母親にもすぐ伝えて。「私、パン屋さんになる」。って決めて。そこから人生がよくわからなくなったんですけど。パン屋さんになるかと思いきや、お菓子屋なので。未だによくわかってないですけど。

30歳になってからロジカルにシフトチェンジしたっていうのは?
なんか、怖いもの知らずなところがあるので。自分でこう決めたら、小っちゃい頃の「ジンブでやる」じゃないですけど、自分でやる、決める。決めたらとりあえずそっちへ向かうっていうのは前からそうですね。何に関してもそんな感じですね。やってだめだったら仕方がないっていうのはある。

このお店はいつからやっていらっしゃるんですか。
吉祥寺に店舗を構えたのは去年の春なので、2015年ですね。なので、まだまだ1年5カ月目とかの、ひよっ子です。

どんなお店かっていうのを教えてください。
なんというか、日本人の方って、私はパンの仕事をしていたからなんですけど、思うのは、焼き立て信仰っていうのがあって。焼き立てなら美味しい、焼き立てだから美味しいみたいなのはすごく根強くて。実際、私もお客様がいらっしゃったら、まず今の時間の焼き立てはって勧めていくんですけど。
本当は焼き立てが1番とかではなくて、落ち着いてからの味もすごく美味しいんですね、お菓子って。それはなんでかっていうと、粉とバターが仲良くなっていくんで。時間が経つごとに。で、私はそういうのを提案していきたいなっていうのもあったんです。お店を開くにあたって。なので、時間の経過とともに味がちょっとずつ変わっていくのを楽しんでくださいっていうお店にしたかったです。というか今、それを目指して続けてます。
「やっぱり、焼き立てが1番ですよね」みたいな感じで言われるときには、ちゃんと説明をして。常連さんは、そういうのをわかってくださるというか、この店で、だんだん、そういうものなんだっていうのを結構実感してくださるみたいで。次回いらっしゃったときに「私、あのバナナブレッド、2日目が1番好き」とか「焼き立てよりも、私は敢えて寝かせてるのよ」とかおっしゃってくださると、ああ、やっててよかったなって思います。
ただ、個人の好みなので、押し付けることはないんですけど。

今のこの仕事、あるいは、お店を経営する上で苦労したことは。
正直言って、私いろんな人に「お店持つまで苦労したでしょ」と言われるんですけど。苦労したと思ったことは1度もないんですね。ただ、偉そうに言うんですけど、努力はしました。お店を持つことと、お店を続けること。今も継続してるんですけど。その努力っていうのは多分、モチベーションを保ち続けていくことなんですけど。やっぱりどうしても、私も人なので。休みたいなとか、この商品、このぐらいでいいかみたいな気持ちになることはあるんですけど。
毎日が抜き打ちテストだと思っているので。お客様にとっては、本当に1回の勝負なので。お客様と私の勝負は1回限りだと思っているので。とにかく、美味しいもの。美味しいものって、当り前なんですけど。ちゃんとしたものを提供しようっていう気持ちを持ち続けるための努力はしてきました。でも、苦労はしてないと思います。

本当に、僕も同感なんですけど。一生に1回しかない勝負の毎日。そういうのって、僕自身もわかってないことなんですけど、それに向かうモチベーションはどこから湧いて出てくるのかなと。
そうですね。どこから・・・多分それは、自分がほかのお店にお客さんとして行ったときの印象で、その店を、「あんまり美味しくなかった」とか「すごく美味しかった」って、結局その印象で次回行くかどうかっていうのが決まっていくことが多いっていう体験と。
あと、私の、つくり手の、売り手の状態なんてお客様には関係ないことなので。そこをちゃんとわかってないと。特に私みたいな仕事だと八つ当たりみたいになっちゃうんですよ。こっちが調子悪いから商品の調子が悪くて。それをお客様に提供しちゃうなんて、私は八つ当たりだなって。「ごめん、今日調子悪いわ」っていうようなことをやるぐらいだったらお店はやらないほうがいいと思うので。
そういう意味では1回1回が真剣勝負で。真剣勝負したところで負けることも多々あるんですけど。その中で続けて来てくださるお客様を大切にするのが大事なのかなって。結構、月並みな話ですけど。そう思ってます。

わかりました。敢えてこういう言い方をすると、ご自身の作品、お菓子をつくっている自分っていうのは、どういう存在だと思いますか。自分自身で。
お菓子って生きていく上では必要がないことなので。三食のご飯がどうしても優先順位では上だと思うんですね。普通の方は。そういった、なんでそういう生活に本当に必要かどうか疑問を持たれることもあるお菓子をつくってるのかっていうと、これもお客様に言われたことなんですけど。
人は動物として生きていくだけじゃないから、どこかで感情を休めたいとか、人に何か気持ちを表したいときに、気持ちって目に見えないので。「(気持ちを)カタチにしたいっていうときのお菓子ってすごく大切なものだと思うのよ」ってお客様に言われたりするので。人の気持ちをカタチにする仕事。私はそれを、たまたま媒体がお菓子なんですけど。そういう仕事なんだと思っています。お菓子をつくるっていうことは。
面白いことに、いろんな方がいろんな理由でいらっしゃるんですけど。私が印象に残っているのは、女子大生が長い間本を友達から借りてて。今さら返しづらいから、ちょっとごめんなさいで、ちょっとだけのお菓子を付けたいっておっしゃってて。本当に、200~300円のクッキーを買って行ってくれたんですけど。ああ、そうそうって思いました。そういう存在でありたいな、私のお菓子はって思いました。

素晴らしいですね。じゃあ、ちょっとまた視点を変えて。長い目で見ると、高校生のときにパン屋さんになろうって思ったことがきっかけだとは思うんですけど。やりたいなっていうふうになったときに、実際に実践するのが結構難しいんじゃないかと思うんですよ。自分がやりたいこともわからないし、あるいはやりたいと思っても実践できないっていう人が結構いっぱいいると思うんです。それを実現するにはどうしたらいいと思いますか。
正直、自分が高校生の頃はそんなことも何も考えてなかったので。もう、引っ張られるまま、パン屋さん見に行ったりとか、パンの本を読んだりとか。何のロジカルな方法でもなく、私は進んで行ったんですけど。
敢えて思うこととしたら、こっちの道に進もうっていうのが正しいか間違っているか、自分に合うか合わないかっていうのは、何のきっかけでもいいから、試しに行ったほうがいいと思うんですよね。やっぱり、頭で考えてるだけだと本当にどうしようもないので。私だったら、パン教室に一日体験行ってみるとか。ああ、思いのほかつまらないなって思ったら辞めてしまえばいいと思いますし。
これは、つまらない答えで申し訳ないんですけど。どんなチープなきっかけでもいいから、やりたいなって思ったことに近づく手段を選ぶっていうのは大事だと思います。あとは、これもよく言われることだと思うんですけど、人に言うっていう大事さっていうのは、あとに引けなくなるっていう状態に追い込むっていうのも、場合によっては大事だったりしますね。私は割とそうやってきました。

じゃあ、最後に5つ質問です。
山と、海と、空と、大地と、宇宙。どれが1番好きですか。

うーん。宇宙ですね。

では、好きな色は。
好きな色は、オレンジです。

嫌いな色は。
嫌いな色は・・・じゃあ、黄緑にしておきます。あんまり考えたことない。

目と、耳と、鼻と、口と、肌、どれが1番、自分は敏感だと思いますか。
敏感かはわからないですけど。1番大事にしているのは嗅覚です。

好きな言葉は。
ある人のパクリでもいいですか?『3秒前は過去』っていう言葉が好きです。そのまんまなんです。

嫌いな言葉は。
なんだろうな。人に言われてすごい嫌な気持ちになるのは、『何か楽しいことない?』って。嫌いです。

次に自分がやってみたいことは何ですか。
それ、結構明確なんですけど。スナックがやりたいです。焼き菓子屋のやるスナックは、やろうと思っています。
純粋に私がお酒が好きっていうのと、どうしても今、焼き菓子のテイクアウトの専門店なので、お客様としゃべる滞在時間の短さっていうのはどうしようもないなって思ってて。もう少しお客様と話したいっていうだけなのもあるんですけど。「じゃあ、バーやればいいじゃん」とか言われるんですけど。もうちょっとダサい感じをやりたいんですね。それこそ場末感がある。スナックいいな。いいなって、やってる方になんか失礼なんですけど。お通しでキッシュが出てくるとか。焼き菓子屋さんがやるスナックは、将来やりたいです。

 
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