大阪の新名所となりつつある、アートスポット「道草アパート」でカフェ&バー「HRR」を営むマスターのID.Kさん
高校時代にHIPHOPに目覚め、音楽家としての道を歩むかたわら、人気カフェバーのマスターとなったそのいきさつをインタビューしました。


HRRのマスターです。

小さい頃に興味があったものは何ですか?

音楽ですね。音楽だけですね、あるの。

何才ぐらいに?

15才の時にDJ初めて、それから音楽一筋ですね。

逆にじゃあ幼稚園とかそのくらいの時には?

スポーツは好きやったですね。サッカー。

音楽に目覚めたのは?

15才の時に地元の先輩とスケボーやってて、そこで先輩が持ってくる音楽がHIP HOPやって、それでターンテーブル欲しくて、買ってそれからですね。

DJですか?

DJ入りですね。

小中高で印象に残っている事はありますか?

いや・・・ないっすね。全然。(苦笑) 高校は、学校、僕1ヶ月しか行ってないんで、高校はすごいドラマチックな高校生活を送りましたね。

ちなみにどんな感じだったんですか?

HIPHOPに憧れてその当時はスゲーB-BOYだったので、金ネックとかジャラジャラ付けて学校に行ってましたよね。そういう恥ずかしい過去もあります。

そのきっかけになった15才の前はどんな子どもだったんですか?

どっちかっていうと勉強も好きだったし、真面目な方でした。

どんな衝撃的な、音楽のイメージというか?

僕が覚えているのは、地元のみんなが使えるバスケットコートがあったんですよ。でそのバスケットコートに夜忍び込んで、地元のちょっとやんちゃな先輩たちと。その時に、もともとハードコアをみんな持ってきてて、その中の一人がHIP HOPを持ってきたんですけど、バスケットコ ートが後ろにあって、スケボーがあって、でHIP HOPがかかっている、っていう、その感じにやられたんですね、多分。

どちらかというとトータル的な?

そうですね。音だけじゃなくて、ファッションも含めてというか、空間とか。

特に親が音楽をやっていたとかいう訳でもなく?

そうですね。でも母ちゃんはスゲーHIP HOPというかブラックミュージックが好きやったんで、鈴木雅之とか。母ちゃんはよう聞いてた。車の中で親がかけていた音楽っていうのは今でも覚えてますね。

そこは似ているんですか?

似てますね。今でも母ちゃんに「こんなのあるよ」っていう。で母ちゃんがそのCD聞いて。たまにMIX CDとか作ってあげますけど。

もうちょっと高校時代の事を聞きたいんですけど。高校は1ヶ月しか行ってなかった、っていうのはどうしてだったのですか?

HIPHOPがまぁ良くも悪くも人生を変えたんですかね。その当時のやんちゃな感じというか、そういうのがやっぱりカッコよく見えたし。そうですね、目立ちたかったんじゃないですかね。

どんな子どもだったんですか? その当時は。

高校生の時?いや~もう嫌な子どもやったと思いますね。
残念な奴ですね。

社会に対してちょっと?

それはありました、すごい。反抗したいというか。人が良いというものを良いと言えない。天邪鬼感というか、そういうのはありましたね。

「俺はちょっと違うぞ」という意識ですかね?

人と違う事がしたい、っていう。それはありましたね。

それは小中の頃は思ってなかったんですか?

小中は全然思ってなかったですね。だからHIPHOPに出会ってからですね。

音楽というものがあって、次のステージでHRRをやっているっていう、それまでの一連の流れはどんな感じだったのでしょうか?

もともとは、この道草アパートの大家さんと一緒に音楽制作というか、音楽を作る活動をやっていて。トムヤムサムライっていうグループの音をやらせてもらっているんですけど。その音楽的なきっかけがまずはひとつあって。で、この道草アパートが出来上がった時に、僕も何かやりたいな、と。ただ今まで音楽しかした事ないんで、自分がやれることっていうのがなかなか見つからなかったんですけど、ふと思った時に、良い音楽がかかってて、タバコ吸いながらゆっくりコーヒー飲んでるような空間てあるじゃないですか? その時にふと「あ、こういう空間を作るのが好きやな」と。もともとDJなんで、対お客さんが盛り上がってくれるかどうかとか、そういうものは常に意識してやってきたんで、そういう空間を作りたいな、と。だから物は言ってしまえば何でも良かったというか。それがたまたまコーヒーだったりお酒だったりするんですけど。空間ですね。形はどんどん変わってるし、これから先もきっと変わり続けていくだろうし。ただこういう良い空間というか、楽しめるというよりはゆっくりできる空間を作りたいな、と。

実際にそんな空間を作りたいと、ふと思った時に、それが行動に移せた理由というか、きっかけというか、どういうものがあったんですかね?その一歩を踏み出す。

本当にタイミングですかね。その時ってそういう家庭の事情で、家族が病気だったりとか。僕地元が福岡なんで、福岡に帰ろうかなっていうタイミングもあったんですよ。でもそういう時に大家さんが連絡をくれて、そこで話している中で、せっかくやったらやってみようと。まぁやってダメなら帰ればええやん、っていう。とりあえずやってみろ、っていうところですね。

実際に音楽で契約して、今やお店のマスターってなっている事に対しては、どんな風に感じていますか?

一緒ですね。やっぱりお店っていう単位で、良くも悪くもこの店に立っている自分がフロントマンだと思っているし、DJする時と感覚は変わらないというか。

実際に空間を作ってみたいと思った時と、作ってみて、その心境の変化などありますか?

小さい事に気づくようになったというか。例えば、置いている小さいひとつにしても、実際にやってみて「あぁこういうものがあるとお客さんは楽しめるんじゃないかな」とか「よく見えるんじゃないかな」とか。 始めてみないと分からない視点というか、そういうのは少し見えたような気はします。

今のHRRをやっている仕事が自分にとってどんな存在になりつつあるんですかね。

ライフスタイルですかね。自分がDJを始めた当初思っていたものとは違うのかもしれないけど、でも好きなお店があって、好きな音楽を聴きながら、好きな仲間が集まって。そんな面白い人生はないかなって思います。

一連の流れで、さっきの大家さんの話も出てきましたが、人との出会いに対して、どういう捉え方をされてますか?

僕は、人との出会いが一番なんですよ。音楽をやっているっていうのは、もちろん音楽が好きだっていうのもあるんですけど、音楽を通して知り合った人間との関係とか、それが欲しくて今も音楽を続けているというか。そうですね。人はすごい重要だし、今の環境を作れているのは周りにいる人たちのおかげだし。そうですね、難しい。(苦笑)

そんな、出会いを大切にする自分を客観的に見てどんな人間だとおもいますか?

思われるだろうな、と思うのは「物静か」「あまり喋らない」っていう イメージはあるんじゃないかな。

逆に自分ではどう思いますか?

お酒を飲むと変わるんでね、結構。熱くも語るし、バカもやるし。でもそういうイメージは案外みんなにはないみたいですね。

何か今、漠然と気になることとかありますか?

気になること? 難しいっすね。
人と人の距離感ていうのは大事なのかな、と。
毎日一緒にいるとか、ただバカが出来るからといってすごい距離感が近いわけでもない。毎日一緒に居たり近い存在であっても、ある意味そういった距離があった方が、多少は。色々考えられるのかな、とは思いますね。

自分でここはちょっと変だなって思うところはありますか?

感情がない。あまり左右されないというか。それは良く言われます、人から。
喜怒哀楽というのは自分の中にはあるんですけど、それが人には伝わらないというか。

伝えようとは?

思わない(笑)
だから、作る音楽が逆に凄い激しかったり、凄いメロウだったりとか、
そっちで表しているのかもしれないですね。

今、そうやって空間を作ってお店をやって、形になってきていると思うんですけど、そういう日々って、どう感じていますかね?

やっぱり今思うのは。お店っていうのも生き物やな、って。建物も生き物なんやなって思うんですけど、普段人が来る事によってきっとお店の形って変わるだろうし。自分が作っているような気持ちではいるけど、 でもきっとお客さんが店を作っているのかな、雰囲気であったり。

今の現状を実現するために苦労したことは何かあります?

苦労は無いですね。あんまり苦労とは感じた事はないというか。単純に自分が好きな事をやっているから。例えばそれはお客さんが来ない時期 があったりとか、考える事はもちろんありますけど、それはすごい前向きな。今思えば。苦労は無いです。

逆に、心がけてきた事は?

やっぱり一般的にはそんなやりたい事は簡単には出来ないっていうイメージが世間では強いと思うんですけど、それをしている人間として、何を心がけてきたから出来たのかな、とか。 日々、店に明かりを灯すことは心掛けてきましたね。

もう少しわかりやすく言うと?

まぁこうやって一人でやってるんで、休もうと思えば休める環境というか。でも、人が来ない時期も、まずは明かりを灯そうと。で、あそこには明かりが灯っているという事によって、見た人が来るタイミングが、 それが1日後なのか、1ヶ月後なのか1年後なのかもしれませんけど。明かりがついているというのが重要な事なんじゃないかと。今、2年お店をやっているんですけど、心がけた事といえば、とりあえず店を開けること。 あとは日々新しいものを取り入れたいなと。メニューだけじゃなくてイベント事であったり。なんか面白い事をしたいなとは思ってますね。

誰しも何かをしてみたいと思っているはずですが、そんな人達に向けてアドバイスというか、こんな風にすればこうなるんだよ、っていう事はありますか?

まずは始めてみること。失敗はするだろうし、やってる中で勿論やりたい事と方向は変わってくるかもしれないけど、まずやってみること。小さな事でもいいと思うんですよ。「お店をやりたいからコーヒーを勉強をしてみようかな」とか「お店をやりたいからカフェっぽい音楽を研究してみようかな」とか。始める事ですかね。

お店のアピール・ポイントを聞いてなかったので、そこをちょっと。

店のアピール・ポイントは・・そうですね。 この何とも言えない空間。雑多なこの感じというか、それが好きで。他にはこういうお店は無いと思うし、人と同じものはしたくない、というのは今も変わらない。 あと、凄く入りづらいお店だってよく言われるんですけど、入って実際にこう座ってもらうと「時間を忘れるね」とよく言ってもらえるので、 まずは入ってもらいたいな、と思います。

今やっている事での延長として次にやってみたいこと、挑戦してみたいことはありますか?

この2年間は、お店を始めてから、音楽活動は少し停滞してしまったんで、もちろん続けているんですけど、今一番考えているのはこのお店を通して知り合った音楽仲間であったり、お客さんでも勿論いいんですよ。それは楽器が弾ける弾けないは関係なしに、こうやって机叩いても 音は鳴るわけで。そういうものをCDであったり音源にしたいなとは考えてます。
 
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